昔、小学校で言われませんでしたか? 家に帰るまでが遠足です、と。その言葉になぞらえて言えば、新しい職場に馴染むまでが転職活動です。内定を得ることは重要なステップですが、ゴールではありません。転職先で安定的に仕事ができるようになってやっと転職活動が終わり、新たなキャリアが本格的にスタートするのです。
内定獲得で安心するのは危険!

現職に継続勤務しながら書類選考や面接に臨み、無事内定を得ることができました。
はじめは不安そうだった奥さんも、きちんと向き合って説得したことで、転職を後押ししてくれています。
現職企業に退職をうまく切り出し、引き継ぎもきちんと行いました。
ここまで来ると、あぁやり切ったな、とホッとするものです(私もそうでした)。
ただ小説や映画だったら、ここでめでたしめでたしで終わるのですが、実際の人生はそういうわけにはいきません。
内定後には新しい会社での日々が待っているのです。
⇨「転職したいけど怖い人。ホントに記者が一般企業でやっていけるの?」
思い描いていた理想と違って、転職を後悔したり、すぐに次の転職を考えるようになったりしては、やはり転職に成功したとは言えませんよね。
華々しく活躍とまではいかなくても、まずはしっかりと新しい職場に定着し、充実した第一歩を踏み出したいのは誰でも同じだと思います。
転職者が直面する日系企業の壁
内定を得て入社するという時期は気持ちも高揚していますし、新しい会社ではバラ色の日々が待っていそうな気がするものです。
ただ、一昔前よりだいぶ増えてきたとはいえ、日本ではまだまだ転職が一般的ではないことを忘れてはいけません。
それは、転職する側はもちろん、受け入れる側も慣れていないということを意味します。
外資系ならともかく、多くの日系企業では最初はお互いにギクシャクしがちですし、転職者は必ずしも同僚から歓迎されるとは限らないため(だってライバルになりますもんね!)、しばらくは居心地の悪さを感じることもあるでしょう。
実は私も入社当初、他のメンバーとなかなかうまくいかず、非常に苦労したことがあります。
その後、環境が変わったのでことなきを得たのですが、あの時は結構こたえました…。
まず馴染む!成果はそれからだ

そんな経験をした私が、新しい会社に定着する上で特に強調したいのは、組織や人間関係に「馴染む」ことの大切さです。
転職者は気持ちが昂っているので、早く成果を出したいと功を焦りがちですが、中途採用とはいえ新人がそんなに簡単に結果を出せるわけがありません。
特に日系大企業ではインフォーマルな人間関係(この案件は○○さんに話せば早いとか)や明文化されていない慣習(上位下達かボトムアップかなど)を知らないと仕事にならないため、仲間として受け入れてもらえなければ成果を出すことは困難です。
もちろん最初のスタートダッシュが求められるような会社もあるでしょうが、その場合でも経費精算の仕方、電話の操作方法一つ知らない新人が成果を出すには、周りのサポートが絶対に必要です。
ですから、最初は定着に向けて、馴染む=居心地の良い環境をつくる=成果を出すための基盤づくり、と考えて行動していくといいでしょう。
ちなみに色々と言われてはいますが、日系大企業で最初から全力疾走が求められるケースは多くないことを申し添えておきます。
内定先を美化せずに会社選びを
またそうは言ってもどうしても馴染めないというケースも出てくるでしょう。
私の周囲を見てみますと、数ヶ月から1年ちょっとで再転職した人も何人かいるので、再び別の会社に移ることも不可能ではありません。
ただ私としてはあまりに短期での再転職は、本人の負担が大きいという意味でも、キャリアに傷がつくという観点からも、避けた方がよいと思います。
そもそも論になりますが、このような場合は会社選びに失敗している可能性が少なくありません。
たしかに会社は入ってみなければ分からないことはたくさんあります。
しかし一方で事前に収集できる情報も多いはずです。
インターネット上には財務諸表やCSRレポートといった公開資料から、退職者の口コミまで様々な情報が転がっています。
⇨「ホームページと財務諸表、口コミサイトで応募先の企業を書類選考する!」
選考が進み、内定を得ると、特に他に持ち駒がない場合、過度に内定先を美化して入社を決めてしまいがちですが、一度立ち止まってこうした情報を精査することが、早期離職の防止につながります。
そして何度も述べていますが、経済的に安定しているからこそ、納得できなければ内定を辞退する選択肢があるのであって、そのためにも在職中の転職活動が求められるのです。
職場への定着がキャリアのスタート
多くの企業では3ヶ月〜6ヶ月を試用期間としています。
この期間は会社側が試用する期間であると同時に、自分が新しい会社を見極める大切な時期でもあります。
この期間が終わり、職場に定着したなと思ったら、それが新たなキャリアのスタートであり、転職活動の本当の終了なのです。
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