新聞記者の転職ギャップ!?マスコミ出身者は一般企業の何につまずく?

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以前お伝えしたように(⇨「転職したいけど怖い人。ホントに記者が一般企業でやっていけるの?」)、新聞記者出身でも一般企業で問題なく勤まるので、異業種への転職に必要以上に悩む必要はありません。そもそもマスコミ以外を「一般企業」と一括りにするなど思い上がりも甚だしいというものです。とはいえ複数回の転職を経験した私から見ても、マスコミとカタギの業界では色々と勝手が異なるのもまた事実。今回は転職後に私が感じた諸々のギャップをご紹介しますので、心の準備の参考にしてみてください!

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ギャップ①朝が早い…

マスコミからの転職を支援する「プレスゲート」
マスコミ関係者向け転職支援・相談・コンサルティングを展開する「プレスゲート」です。新聞、出版、放送関係者で異業種・異職種への転職をお考えの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

馬鹿っぽくて「新社会人か!」と怒られそうですが、なんと1つ目はこれです。

いや、もちろん記者も取材が佳境に入っていたり災害が発生したりした際に、朝が早い(というか時間は度外視される)ことは知っています。

ただそうではない時は、午前10時とか11時に記者クラブに顔を出したり取材先に直行したりと、結構朝は余裕があるのではないでしょうか(ひょっとしたら今は違うのかな)。

これ、実は結構ありがたくて、通勤電車は空いてるし、二日酔いの気持ち悪さがマシになってから出勤できるし、まぁ何というか大学生活の延長のようで、記者時代には分からなかったのですが、端的に言って楽なのです。

これがいわゆる普通の会社に入ると一変します。フレックス制の会社が増えてきたとはいえ、日系企業で11時過ぎにタラタラと出てきて、ちょっと一服してからすぐ「よし昼メシ行こう」なんていうことはあり得ません。

大体9時か9時30分ぐらいが始業時間で、それよりもっと前に出社していることがいわば「常識」になっています(記者出身の私はいつもギリギリで、それゆえにいつも部署で最後の出社です)。

テレワークの時も始業時間前にオンラインにしておくのが当たり前です。

「いやいやフレックスはどこに行ったんだよ」と思うかもしれませんが、特に決まりはないけれど、フレックスの日は事前に連絡を入れておくことになっていたりして、全然フレキシブルじゃない運用だったりします(このへんは会社によるとは思いますが…)。

ということで結構ガチめな裁量労働に慣れていた身としては、「出社初日は少し早めに8時30分頃には来てください」と涼しい顔で伝える人事担当者にギャップを覚えつつ、しばらくは高校生以来の規則正しい生活に苦労することになりました。ま、すぐに慣れますけどね。

ギャップ②「根回し」がポジティブ?

新聞記者というかマスコミには無意識なバイアスとして、官僚的とか根回しとか大企業病とか、何となく戦後の自民党政権を彷彿とさせるようなキーワードをネガティブに捉える傾向にあるように思いますが、大企業において根回しや会議はそこまで悪い意味合いを持ちません。

いえ、もちろんこれらが好きな人は多くないですし、特に若手を中心に毛嫌いする傾向があるのは事実ですが(彼らもマスコミの影響を受けているのかもしれません)、現実問題として大人数の日本的組織を回していくのには不可欠であり、いわば必要悪なのです。

記者のように一匹狼式に仕事が完結しないのだから当たり前といえば当たり前。

私は転職直後、「うまく営業と役員に根回ししとけよ」と言う上司を見て「この人はなんてダメなんだろう」とマスコミ的感覚で反発を覚えたものですが、彼の言うことが正しくかつ現実的で、スクープを放つように独断で物事を進めようとしたら、各方面から一斉に猛反発が来て、すぐに企画自体が潰れてしまいます。

会議も同じというか、一連の流れの前工程と後工程であり、根回しで内諾を取り付け、会議で正式な承認を得るのです。

良し悪しは別として、これなしでは絶対に日本的な大組織は運営できませんので、変にマスコミ風の正義感を振りかざし「それではスピーディーな仕事ができないではないですか!」とか言わないようにしましょう。

そんなことはみんな分かっているので、ただの痛い人になります。

ギャップ③上司の事情を見ながら仕事

私がなかなか慣れなかったのはこれです。いやゴマを擦る話ではなく、「なんで部下の俺が上のスケジュールに配慮しなきゃならんのだ」という話です。

ちょっと記者の方は、私が何を言っているのかが分からないかもしれませんから説明します。

スピード勝負の新聞社の編集局では基本的にデスクは必要な時間に本社にいるし、それを前提に記者も原稿を送ります。デスクがOKを出したら整理部に原稿が回りますが、整理記者や校閲記者も締切前に持ち場を外すなんてことはあり得ません。

ところが一般企業の管理職は先に述べたように会議だ他部署との調整だと、あれやこれやをやっていて、締切前に席にいなかったり、こちらが手がけている案件の締切を細かく把握していなかったりします。

そんなんでいいのかなと思いつつ、承認を求めた仕事が締切までに戻って来ずに、放っておいたら案の定炎上。

「あーあ」とか思っていたら、上司曰く「承認が必要なものは締切までに(上司側の)スケジュールをきちんと押さえて決裁をもらうように」とのことで、この時ほど超絶ダルいと思ったことはありません。

原稿を書かなかったら記者の責任ですが、送稿したのに別件があって紙面を作れなかったら、代役を立てることをしなかったことも含めてデスクの責任でしょう?

この時も私の仕事は終わっていた(と認識していた)ので、フツーに考えたらこれは上司側の責任ちゃうんかい!などと思ったのですが、複数の会社を経験したところ、上司のスケジュールを確認して決裁をもらう方がどうも担当者としてはフツーなようで、むしろ私の方がオカシイという結論に至りました。

ま、課長クラスはつかまることがほとんどだから良いのですが、彼らは新聞社のデスクと違って権限が少ないことが多く、その上の部長、役員、場合によっては社長のところまで行かなくてはならないケースもあるので、それはそれは面倒くさく時間がかかります。

ですが上記の通り、そうしないと日系大企業は回らないので仕方がないのです。

ちなみにこういう時は非公式な根回しで概要説明を済ませた上で、アポを取り付けて改めて承認を得るようにするとスムーズかつスピーディーに業務が進みます(そんな社内調整仕事に付加価値があるのかという野暮なことは聞いてはいけません)。

ギャップ④コンプライアンスをほんとに重視

マスコミほど言っていることとやっていることの間に溝がある業界はないと思いますが、あれほど偉そうに上から目線で政府や大企業の不祥事を叩くのに内部がゆるゆるなことはすでに周知の事実です。

恥ずかしながら私自身、大組織はロクなことをしないからきちんと監視して、何かあったら再発防止のために全てを明らかにした上で、批判しなければいけないなどと思っていたクチです。

それでいて自分たちの法令順守意識やお金の使い方、誤報に対する態度などはひどいものでしたから、ロクでもないのは自分たちの方だったと今では反省しています。

それに対して(私が勤務したことのある)大企業はコンプライアンス意識が高いを通り越して、いつも何か起きないかビクビクしながら、法令順守や環境配慮はもちろん、あらゆるリスクに対応しようとしています。

何かの件でマスコミ報道や役所のガイドラインが出たらもう大変です。関係部署はパニックになるわ、関係ない部門にまで調査依頼が来るわで、ちょっとした災害です。

いやそもそも社外からのアレコレだけではなく、社内の規程だの基準だのも凄く真面目に守ります。研修も身になっているかどうかは別として、みんなちゃんと受けます。

講師役の管理職が「こんなのやっても仕方ないんだよ」とか言っていた新聞社の研修とは全然違います。

正直なところ真面目すぎて、もっと要領良くやればいいのにと思わなくもないのですが、マスコミと違って根がマトモな人が多い証左かもしれません(だからマスコミは過度に叩かないように!)。

と、まぁマスコミ業界と色々な違いはあるものですが、それほどシリアスじゃないものばかり。異業種なのだから違うのが当たり前で、慣れるまでのしばしの辛抱です。

中には「その新たな視点を改革に役立ててほしい」などと無責任なことを言う人がいるかもしれませんが、そのような試みはまず失敗するでしょうから、乗せられないようにだけは注意しましょう。

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