皆さんはもうすでに転職エージェントとの面談を終え、いくつかの求人票を手にしていることだと思います。初めての転職の方は新卒のとき以来、久しぶりに募集要項を見たのではないでしょうか。求人票はそんなに複雑に読み解かなくても大丈夫ですが、いくつかのポイントには注意しておきましょう。
求人票のどこを見る?
求人票を手に取ってまず見るのは企業名でしょうか、あるいは仕事内容でしょうか。もしかしたら想定年収額かもしれません。
はい、そのいずれも大切ですね。ただこの中で注意が必要なのは想定年収額ぐらいです。
企業名が適当に書いてあるわけはありませんし、仕事内容も新卒と違って中途採用はかなり具体的な職務が書いてあります。
これは新卒者を総合職として一括採用して各部署に振り分けるのに対し、中途採用ははじめから配属先の部署や業務が決まっているからです。
記者職の皆さんは新卒のときも職種別採用でしたから(一部の新聞社を除く)、このあたりには抵抗がないかと思います。
年収ダウンの覚悟は必要も、そこまでの心配は不要
一方で注意が必要になってくるのが想定年収額です。
まず年収に対する基本的な考え方ですが、異業種・異職種に転職する時点で、残念ながら大幅なダウンは免れません。
100万円〜200万円ぐらい下がる見当で考えてもらってもよいと思います。
そこで年収が下がっても生活に耐えられるかの具体的な試算が必要になりますが、これは今回のテーマから外れるので後日解説することにします。
⇨「記者の転職、年収は…面接で希望年収を聞かれたらどう答えるべきか?」
⇨「内定の連絡を受けたら何をすべき?苦労を水の泡としないよう○○○○○をもらおう」
年収が下がってしまうのは、そもそもマスコミ業界の給与水準が高いことと、転職先の職務に対する経験がないからですが、特に東証一部(現プライム)に上場しているような大手企業では大幅な年収ダウンも一時的。
数年我慢すれば昇給していきますので(昔のマスコミの水準ほどではないかもしれませんが、十分に安定的な暮らしができるぐらい)、それほど見かけの額に惑わされる必要はありません。
また想定年収額は○万円〜○万円という形で示されていることが多いと思いますが、多くはこのレンジに本当に落ち着きますので(またこの中の最低額も最高額もあまりありません)、そこは信用しても大丈夫です。
相場より高い場合は、ここをチェック!
むしろ注意が必要なのは、なぜか相場よりも明らかに高い額を提示している企業です。
そのような求人はベンチャー企業が多いのですが、決して嘘をついているわけではありません。
でも「それなら!」と飛びつくのは少し待ってください。
そうした求人票の備考欄をちょっと見てみましょう。
こんな文言が掲載されていませんか?「残業○時間を基本給に含む」
なんと残業時間が込みになっています。
記者の皆さんは裁量労働制でしょうから残業という概念が薄いかもしれませんが、一般企業では超過時間分を残業として付けて残業代をもらうのが普通です。
かなり大手の会社でもサービス残業があったりして一概には言えないのですが、基本的に残業代は基本給とは別にもらうものなのです。
それが基本給の中に組み込まれているということですから、何のことはない、残業なしだったらどうなんだという話です。
もちろん大手企業の求人票でも「残業○時間程度」と記載がありますが、それが基本給にデフォルトで組み込まれているのは個人的にはちょっとどうなのかなと思います。
退職金がない会社も結構あったり
また、ベンチャー企業では「退職金制度:無」になっているところが多いです。
転職していく身からすると、長年勤めなければ大した額がもらえない退職金(私も雀の涙でした…)なんて無用の長物だと思うかもしれませんが、なんだかんだ言って日本社会は退職金ありきで動いているところがありますし、退職金の積み立て分を給料として現在進行形で支払うのであれば、これまた何のことはない、退職金分を勘案すればどうなんだという話です。
保守的と言われてしまうかもしれませんが、私は結局、退職金制度がある会社に転職しました(このあたりは何が正解というものでもありませんが)。
侮れない福利厚生のインパクト
そして想定年収額ばかりに目がいっていると見落としがちですが、福利厚生の威力を忘れてはいけません。
社員食堂や保養所(今はもうあまりないかもしれませんね)もありがたいものですが、家計に最もインパクトがあるのが家賃補助や社宅です。
これがまったくないのと、月7〜8万円分あるのとでは、単純計算で100万円弱の違いがあるので、自由になるお金がまったく変わってきます。
特に年収が下がることが予想される異業種・異職種への転職では、なおさらインパクトは大きいと言えるでしょう。
なお中途採用の場合、一般的な社宅には他の社員もいて後から入っていきにくいので、借上社宅制度があるとありがたいですね。
大まかな傾向ですが、福利厚生の欄が充実している会社は入社後も色々と充実していて、辛い会社はトコトン辛い印象があります。
こういうものは後々、ボディブローのように効いてきますので侮ってはいけません。
でも直感も大切に!
最後に。
第一印象というのは不思議なもので、あまり魅かれる求人ではないけれど、ちょっと応募してみようか、といったレベルのところは選考が進んでも結局辞退ということが多かったように記憶しています。
ですからありきたりな結論にはなりますが、求人票をじっくりと見つつも、パッと見た上での直感も大切にしましょう。
それがいわゆる企業との相性というものなのだと思います。
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