皆さん、もういくつかの企業に書類を応募してみたでしょうか? 新卒時に比べてバンバン落ちるので驚いたかもしれません。でもそれが普通なので、気にしないでも大丈夫。縁あって書類通過のお知らせが来たら、こちらも応募先の企業の選考を開始しましょう。そう、私たちも企業を書類選考するのです!
書類選考は落ちて当然ぐらいの気持ちで
書類を応募し始めると面白いぐらいに「お見送り」されます(要するにご期待に添えず、採用はお見送り云々ということです…)。
でも何度も繰り返しているように、中途採用は求人側のニーズがある程度かっちり固まっているので、面接に呼ばれなかったからと言って気にする必要はありません。
転職はお見合いのようなものですから、この企業が求める人材の要件と違ったんだな、と納得して別の求人を探しましょう!
もっとも何件応募してもまったく書類が通らないとなると、応募している業界や職務経歴書に問題がある可能性が高いので、一度転職エージェントに相談してみた方がよいかもしれません。
ミスマッチ防止へどんな会社なのか吟味
さて書類を応募し、そのうちの何件かが選考を通過すると、面接に呼ばれることになります。
ここからが今回の記事のポイントです。
久しぶりの面接で緊張したり早めに準備に取り掛かったりしたくなる気持ちは分かりますが、はやる気持ちを一旦抑えて立ち止まりましょう。
先ほど「転職はお見合いのようなもの」とお伝えしましたが、お見合いであれば当然こちらも相手を吟味しなければなりません。
どんな会社で、どのような事業を営んでいて、業績はいかほどか、そして社風は。
選んでもらった相手について行きますという発想では、早期離婚ならぬ早期離職につながってしまいます。
吟味する前に内定が出てしまうと、早く現職を辞めたいあまりに、過度に相手を美化するようなバイアスがかかってしまったりするので、この段階からじっくり応募先企業の「書類選考」をしていきましょう。
ホームページで「経営者、企業概要、財務諸表」をチェック!
まずは応募先のホームページを確認します。
ここを見ると経営者の顔写真や企業概要、財務諸表などをチェックすることができますので、基本として押さえておきましょう。
ひと昔前はまともなホームページを持っていなかったり、持っていても微妙なサイトだったりする会社もあって、ある程度ホームページの質でスクリーニングできたのですが、最近はどこの会社もレベルが上がってきて、そういうことが難しくなってしまいました。
中には「え、この会社、こんな立派なホームページ持ってんの!?」と思うようなケースもあるので、見た目のイメージだけではなく、内容を見ていかなければなりません。
とはいえ、ホームページは外部向けに当たり障りのないことが記載されているだけなので、まずは先述した
「経営者の顔写真(やばいオーラが出ていないか。特にオーナー企業)」
「企業概要(社員数、設立年、主要事業、国内外事業所など)」
「財務諸表」
をチェックすれば大丈夫かなと思います。
投資家ではなく働く視点で業績を見る
上場企業の場合は財務諸表をもう少し深掘りして、通期決算時の短信を過去3年分ぐらい見ておきましょう。
財務諸表も難しく考えることはありません。
投資家になるわけではないので、財務キャッシュフローだの、棚卸資産回転期間だの、流行りのROEだのまでチェックする必要はありません。
損益計算書で売上規模と利益率、自己資本比率などを見て、最近の業績動向を大まかに把握すればよいと思います。
なお決算記事を書く経済記者の視点からは、利益率が高い企業の方が評価できるかもしれません。
ただ、人件費を含む販管費を絞っても利益率は高くなるので、業界水準を大きく上回っているような場合に、働く立場から単純にこれを喜ぶのはどうなのかな、ということは思ったりします(もちろんそれでも赤字よりは良いですが)。
あとはホームページではありませんが、東洋経済新報社が発行している「就職四季報」も見ておきましょう。
「会社四季報」は投資情報ですが、こちらは働く側の観点から定着率や有給取得に関することまで網羅しているので、新卒向けのようですが転職希望者も見ておいて損はありません。
一般論にはなりますが、低い定着率や、あまりに若い平均年齢は、離職率が高いことを意味するので、避けた方が無難です(もちろん業種やフェーズによります)。
当たらずとも遠からずの口コミサイトで
ここまでで応募先企業の大まかなアウトラインが見えてきたのではないかと思います。
しかしこれだけでは、働く上での情報はまだまだ足りません。
そこで範囲をさらに広げ、「口コミサイト」やネット掲示板もチェックするようにしましょう!
口コミサイトとは、転職希望者向けの参考情報として、企業の職場環境に対する評価をまとめたサイトのことです。
基本的に当該企業に在籍している社員か、退職した元社員が書き込む仕組みになっており、さまざまな内部の情報が掲載されています。
もちろんこれらの情報は裏が取れませんし、実際に転職した後に閲覧してみると「まぁ、そういう見方もあるかな」というぐらいだったりします。
サイトの性質上、書き込むのは転職を検討していたり退職したりした人なので、多少の偏りがあるのは仕方のないところ。
ただ個別具体的な内容はともかく、大きく印象を捉える(社員同士の仲が良い、年功序列意識が強い、残業が多めなど)には、当たらずとも遠からずという面がありますので、公式情報に加えてぜひ参考にしていただければと思います。
ネット掲示板も一通り押さえておこう
口コミサイトにはいくつか種類がありますが、私は「OpenWork」「転職会議」「キャリコネ」あたりを活用しました。
転職エージェントと違って、選ぶサイトによってそれほど差が出るわけではないので、いくつかのサイトをざっと見て(口コミの一部は登録なしでも閲覧できます)、自分の好みで使うサイトを決めてもよいのではないかと思います。
口コミを全て閲覧するには登録が必要で、有料プランなどもあるのですが、私は自分自身で口コミを投稿して無料で閲覧するプランを選びました。
これから面接時の交通費などもかかりますし、ここに必要以上にお金をかけるまでもないと思います。
なお当サイトでは円満退職を推奨していますので、(言いたいことはあっても)現職企業に対する悪口や、デリケートな内部事情に触れる投稿は控えましょう。
そんな過激な情報を投稿しなくても、勤務時間が長い、締切に追われるといった当たり障りのないもので十分です。
また口コミサイトに加えて、インターネット上の掲示板(5ちゃんねる〈旧2ちゃんねる〉など)もチェックしておきましょう。
これらのサイトは玉石混交で、ただの憂さ晴らしとしか思えない、ろくでもない書き込みもありますが、火のないところに煙は立たぬもので、ブラックな噂などは一通り確認しておいた方がベターです。
私の企業広報における実体験でも、ネット掲示板にデリケートな話が流れて状況を注視していたことがありますので、目は配っておきたいところです。
でも面接での直接確認に勝るものなし
ここまで調べれば、ある程度その会社のことを知ることができるでしょう。
どうでしたか? さらに入社したくなりましたか?
あるいは企業名にひかれて応募したものの、行きたくなくなりましたか?
でもこれらの情報も判断材料の一つに過ぎません。
本当はどんな会社なのか、一緒に働く人はどんな人なのかは、実際に見てみないと分からないものです。
企業側だって条件は同じで、書類だけではどんな人か分からないから、面接に呼ぶのですしね。
お互いしっかりと調査した上で面接に臨み、そこで最終的に判断する。
そうすればミスマッチの可能性は低くなりますし、変な会社に入ってしまうリスクも下げることができるでしょう。
「書類選考」を行うタイミングはいつ?
最後に補足ですが、こうした企業研究を行うのは書類選考に通った後で構いません。
もちろん応募の段階でも企業名や年収額は検討するでしょうが、その段階でここまでの調査をするには件数も多いでしょうし、書類選考で落ちてしまったら時間も無駄になってしまいます。
また面接日まで時間がない場合には、選考を進めながら実施するようにします。
会社は入ってみないと分からないものではありますが、事前の調査でかなりのことが把握できるのもまた事実。
なので面倒くさがらずに、しっかりと「書類選考」を行いましょう!
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