一次面接を通過すると、選考が短い企業では次は役員面接、すなわち「最終面接」となります。ここまで来ると嬉しさの反面、現実的な不安もまた襲ってくるものです。そう、転職が目の前に迫ってきた今、長年慣れ親しんだ記者職を離れ、一般企業でやっていけるのか一抹の不安がよぎるのです。
選考を進めることに一抹の不安
一次面接の選考結果については、企業によってマチマチではありますが、早い会社で翌日、遅いところでも1週間ぐらいで転職エージェント経由で連絡があります(一部、本当に忘れた頃に連絡してくる会社もありますが)。
通過の場合は早めの連絡が多いものの、遅くても通過することは結構ありますので、過度な期待も悲観もせず、淡々と結果連絡を待ちましょう。
さて、結果連絡から最終面接に至るまでの具体的な流れは回を改めて書きますが、この段階まで来ると一つの決断をしなければなりません。
それは「この企業の選考を先に進めるべきか否か」ということ。
一次面接までは必ず受けることがルールでしたが、ここから先は私たちにも辞退という選択肢が与えられます。
⇨「書類選考通過率と転職活動のタイムマネジメント。戦線拡大は自滅する」
冒頭でも述べましたが、選考が短い企業だと次は最終面接となり、そのような会社は大手を含めて結構多いのです。
応募先の会社が自分に合わないなと思ったら迷いなく辞退すればよいのですが、この段階になると別の不安から選考を進めることに躊躇することも出てきますよね?
新聞記者の転職は失敗ばかり?
ここまで来ると早ければ2〜3週間後に内定が出て、2ヶ月後には内定先に入社するというスケジュールが現実味を帯びてきます。
すると今までは早く転職したくて仕方なかったはずなのに、今度は「新しい会社でちゃんとやっていけるのだろうか」という新たな不安が頭をよぎるのです。
特に初めての転職時は、社会人としての経験の全てが新聞記者なわけですから、その不安は大きなものになりがちです。
心配になってGoogleで検索したら、記者の転職の失敗事例なんて記事を見つけて、ますます不安になったり。
また一般企業に転職した先輩がまたマスコミ業界に戻ってきたりなんて事例も過度に気になったりもします。
で、私ももちろん不安で仕方なかったのですが、結論から申し上げますと、そんなに心配する必要はありませんでした。
もちろん本人のパーソナリティや転職先の影響も受けるのですが、新聞記者をやってきた人なら入社後にキャッチアップして十分やっていけます。
記者はまともにメールも書けない→杞憂
よく言われることの一つに「記者はビジネスの常識がなくて、まともに電話やメールの対応ができない」なんてことがありますが、普通に考えればそんなことあるわけないですよね。新聞社だって普通の会社なんですから。
確かに一般企業は新卒でビジネスマナー研修なんかがありますし、「とりあえず行ってこい」で大した研修もない記者職に比べれば多少はスマートかもしれませんが、それがどうしたというレベルです。
今までどおりにやれば問題ないですし、その会社のルールがあれば素直に従えばよいだけです。
そんなことで揚げ足を取るような会社に対しては、その会社への入社自体が間違いだったと考えてよいでしょう。
そもそもコミュニケーションそのものを仕事にしている記者に比べて、一般企業の社員の方がよっぽど文章なんかは下手ですよ(嫌味ではなく本当に意味不明なメールを書く人がいるのです)。
エクセルもパワポも使えない→杞憂
またエクセルやパワーポイントの操作、あるいはプレゼンのスキルは確かに記者出身者の弱いところではありますが、正直なところ一般企業の社員もそんなにレベルは高くありません。
⇨「記者の転職を戦略的に考える① 強みを把握し、効果的なアピールを」
⇨「記者の転職を戦略的に考える② 面接の逆質問で転職先のニーズを見極めよう!」
そもそもそういうエクセルやパワポの資料は代々使っているフォーマットがあったりして、一から作成する機会はそれほど多くないのです。
プレゼンにしてもほとんどの人は上手くないですし、職種にもよりますが、そもそも発表する機会だってそんなに多くはありません。
こういう「ビジネスマンだったらこれぐらいできて当然だよね」みたいな印象を植え付けたのはコンサル業界じゃないかと私はにらんでいますが、あそこは特殊な業界なのでそれをあまり一般化して考えなくても大丈夫。
それに分からないこと、できないことは入ってから学べばよいのです。
記者はビジネスが分からない→杞憂
「記者をずっとやっていたのでビジネスのことが分からない」という不安もあるかもしれません。
ただこれは二重の意味で誤りで、新聞事業だって販売や広告を伴うビジネスですし、一般企業の社員だってそんなに事業のことなんて分かっていません。
記者がビジネスのことが分からないというレベルと、総務や人事、経理、あるいは広報が所属企業の事業を知らないというレベルは同じぐらいと考えてよいでしょう。
大きな会社になればなるほど他部門のことは知らないものです(これはこれで問題ではありますが…)。
稟議書の起案や予算策定みたいな大企業のお作法も、マニュアルやフォーマット、過去の資料があるので、見よう見まねで何とかなります。
そもそもこの手の作業を好きな人は少なく、一般企業でも習熟している人ばかりではないのが現実です。
年下の先輩社員が怖い→杞憂
また些末なことですが、日本人の感覚だと、年下の先輩に「こんなことも知らないのかよ」と詰められようなシチュエーションは避けたいと思うのが人情でしょう。
実際のところどうなのかというと、私は複数回転職していますが、そんな年下の先輩に遭遇したことも、見たこともありません。
いや年上の先輩でも同じです。
中途入社は社会人経験があるので、新卒入社とは異なり最初から「大人」として扱われ、普通の会社ではある程度の敬意を持って迎えられます。
また私も中途採用者を受け入れたことがあるのですが、まともな会社だったら、早く馴染んで定着してほしいと思うとともに、こちらが持っていない知見をぜひ教えてほしいと考えるものです。
ですからプロパー社員にアゴで使われることなんてないですし、むしろ年下の先輩はその会社のイロハを教えてくれる強力なパートナーになってくれたりするのです。
記者出身者なら必ずやっていける!
と、色々不安は尽きないとは思いますが、応募先の会社に懸念があるのならばともかく、一般的な転職に対する不安があるぐらいならば、勇気を持って選考を前に進めることを推奨します。
そのぐらいの不安で選考を辞退した場合、十中八九、数週間後、数ヶ月後に後悔することになるでしょう。
心配することはありません。新聞社、あるいはマスコミに入社できるぐらいの人であれば、必ず一般企業でもやっていけます。
もしネガティブな情報を見つけたら、それは転職そのものではなく、その人が入った会社が悪かったのだと解釈する方が無難だと私は考えています。
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