そもそも自分自身は転職した方がいいのか、しない方がいいのか。転職関連の本やウェブサイトでも、よく取り上げられる話題ですね。確かに世の中には転職しない方がいい人もいますので、不安な気持ちから確認したくなる気持ちも分かりますが、世の中に出回っている情報は綺麗事すぎるきらいも。内定受諾を決断するこのタイミングで、転職に踏み切ってよいのか改めて考えてみましょう。
綺麗事ばかりなんてあり得ない
私も初めて転職を意識した頃、本当に転職しても大丈夫なのか、もっといろんな観点から考え抜くべきなのではないかと思い悩み、転職本で「転職した方がいい人、しない方がいい人」みたいな記事を読んだ記憶があります。
その記事に何と書いてあったのかはもう忘れてしまったのですが、おそらく今の転職本やサイトに書いてある内容と同じようなものだったのではないかと思います。
今回の記事を書くにあたり、久しぶりにネット上で「転職した方がいい人」「転職しない方がいい人」などと検索してみたのですが、「仕事内容や人間関係が嫌で辞めるのは避けるべき」「明確なキャリアプランを描いて転職すべき」といった綺麗事過ぎる言葉が並んでいて、少々うんざりしました。
あるべき論としてはそうなのかもしれませんが、世の中は私も含め、そんなスーパーマンみたいな人ばかりではありません。
というか人間関係や仕事内容が嫌じゃなくて辞めるというシチュエーションを私は理解できませんし(面接でわざわざ言う必要はありませんが)、この変化の大きい時代に長期的なキャリアプランなどどのように描けばよいのでしょうか。
安心してください。ほとんどの人ははっきり言わないだけで、人間関係や仕事内容が嫌で転職していますし、明確なキャリアのビジョンを描いている人なんてむしろ少数派です(というか人生なんて計画通りに進むことの方が少ないです)。
そこで私の転職経験、中途採用の受け入れ経験に基づき、本音ベースで「記者から転職した方がいい人、転職しない方がいい人」をまとめてみましょう。
転職した方がいい人①将来への経済的な不安が大きい
まずは転職した方がいい人ですが、第一は「将来への経済的な不安が大きい人」です。
新聞社、出版社、テレビ局などのオールドマスコミに在籍する人に共通する前提ですが、経済的な観点のみにフォーカスすれば基本的に(今すぐ)転職した方がよいです。
なぜなら売上高や発行部数、広告費を引き合いに出すまでもなく、ほぼ確実に今後はマーケットが縮小していくからです(特に紙媒体。最近、電車内で新聞を読んでいる人を見かけましたか?)。
経済的な面を重視するのであればマスコミに長居する必要はないというか、むしろ長くいたからといって将来の経済的な不安が解消されることは絶対にありません。
解消されないのに在職し続けて未来を思い煩うのは、意味のない我慢であり、大切な人生を無駄にしてしまいますので、このような人は早めに転職をした方が良い結果が得られるでしょう。
「やりたいことがあるけれど、今の安定的な環境を捨てがたい」という幻想を抱いている場合も、その「安定的な環境」は砂上の楼閣なので、思い切ってやりたいことをやった方がよいと思います。
斜陽産業にいるのはつらいものですが、考え方によっては失うものが小さいということでもあるので、やりたいことがある人にとっては決断しやすい状況とも言えます。
転職した方がいい人②人間関係に耐えられない
「人間関係に耐えられない」というのも十分転職理由になります。というか転職理由で一番多いのが人間関係に起因するものなのではないでしょうか。
人間関係ぐらいで辞めるなんて、というのは部外者だから言えることであり、人間関係に思い悩んで自殺する人だってたくさんいるのです。
もちろん人事異動でたまたま嫌な上司が来たというぐらいであれば、1〜2年ぐらい我慢してやり過ごすこともできるでしょう。
でも往々にして社風に合った人材が出世していきますから、上を見れば自分に合わない嫌な人ばかり、さらにはパワハラだらけということもあり得ます。
人事というものはその会社の思想が色濃く反映されるものです。
そういう人間を許す会社にも問題があるわけで、少なくとも自分自身として染まり切れないのであれば、転職するというのは現実的な選択肢です。
ちなみに人間関係が悪くて会社に行きたくないと必然的に転職活動に力が入りますので、ネガティブなモチベーションとしては圧倒的なNo.1と言えるでしょう。
ただし会社はユートピアではないので、どんなホワイト企業に転職しても合わない人がいる可能性があることは、認識しておいた方がよいと思います。
また私はオススメしませんが、人間関係だけが嫌で仕事内容などに問題がない場合、無理に異業種・異職種を目指す必要はないかもしれません。
転職した方がいい人③仕事内容がまったく合わない
最後に「仕事内容がまったく合わない人」です。
皆さんは記者を志望したぐらいですから、文章を書くことに抵抗はなかったでしょうが、残念ながら(?)記者の仕事はそれだけではありません。
文章を書くことよりも取材力の方を求められがちですし、(あまり意味があるとは思えない)抜いた、抜かれたのプレッシャーも大きいです。
またあくまでも取材者ですから当事者になることはなく、よく言えば社会の木鐸(死語ですかね?)ですが、悪く捉えれば傍観者と言えないこともありません。
それが合う人はいいのですが、合わないとなると記者はハードワークで労働時間も長いだけに、人生が苦行になってしまいます。
もちろん、入社して数ヶ月で仕事をこなせるようになるわけはありませんから、しばらくは根気強く取り組んでみる必要はあるでしょう。
ただ人には適性というものがありますので、3年、5年と続けて自分の中で合わないと結論付けた仕事を辞めることは、甘えではありません。
日本では軽視されている印象がありますが、自分に合わない仕事を続けることは自身を欺いているわけですから、人生のクオリティを著しく下げることになりますし、社会全体での適材適所の観点からも推奨されるものではありません。
新卒で選んだ仕事はくじ引きのようなものであり、特に職種別採用である記者職の場合は、仕事内容が合わないことは十分に転職理由になります。
普通の悩みで転職したって悪くない
以上、あくまで私の印象ですが、ざっと転職した方がよい人を挙げてみました。
いずれも程度問題ではありますが、みんな案外このような普通の悩みを理由に転職しているものです(何度も言いますが、面接などで公式に言う必要はありません)。
また多くの場合、濃淡はあっても、理由が一つだけということは少なく、いくつかの要因が複合的に混ざり合っているのではないでしょうか。
後ろ向きな理由ばかりのようですが、不安や不満といったネガティブな動機付けがなければ、面倒で手間がかかる転職活動なんて普通はやりません。
私ももちろんそうでしたし、一見ピカピカに見えるキャリアの人でも何らかの不安や不満を抱いて転職していましたよ。
それでは次回は反対に「転職しない方がよい人」に迫ってみましょう!
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