記者の転職先を考える① どこに転職できるかが問題だ

業界・職種
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転職エージェントとの面談が終わると、求人票を前に「どこに応募しようか」と頭をひねることになります。世の中にはたくさんの業種・職種があると改めて感じた人も多いのではないでしょうか。さてここまで転職したい一心で書類をつくり、面談に臨んできた皆さんも、応募の前に一度立ち止まって、新聞記者出身者がどのあたりに転職できるのかを考えておきましょう。

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現実的に目指せる分野を把握しよう

マスコミからの転職を支援する「プレスゲート」
マスコミ関係者向け転職支援・相談・コンサルティングを展開する「プレスゲート」です。新聞、出版、放送関係者で異業種・異職種への転職をお考えの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

同業他社(マスコミ各社)に転職希望だったり、やりたい仕事が明確になっていて、そのために転職活動を進めたりしている方は、あまりこのサイトを見ていないと考えられるので、読者の皆さんの多くはこれから「どこの業界に行けるのか」「どんな職種に就けるのか」と検討されると思います。

いくつかの求人を前に(プレスリリースとは比べものにならないぐらいの真剣さで)その内容を確認されたと思いますが、そもそもどんなところに行けそうなのか相場観がないと動きにくいですよね。

「想定年収額には要注意!転職求人の見方は?」

そこで求人票の吟味に進む前に、私の知りうる範囲で記者経験者が転職できそうな分野を紹介していきます。

なお公務員や士業は民間企業への転職とはかなり異なり、私の経験からはアドバイスできることはないので今回は除外しますが、わりとメディア経験者もいるようなので、興味のある方は調べてみるのもよいかもしれません。

記者は業種を変える=職種を変えるになるから難しい

さて、まず大前提として認識しておかなければならないことは、再三にわたり指摘しているように、新聞記者(あるいはメディア全般の編集・制作部門と言ってもいいでしょう)からの転職先に、それほど多くの選択肢があるわけではありません。

ただこれは記者職が別に特別だというわけではなく、そもそも中途採用というのはそれまでの経験を買われるわけなので、実はどんな職種でも転職事情は同じです。

重要なのは記者職に相当する職種がマスコミ以外にないということなのです。

例えば営業経験者が総務や人事に転職したいといっても、難しいことに変わりはありません。ただ営業や総務、人事といった職種は業界が違ってもたいていどこの会社にもあるので、職種を変えることは難しくとも、業界を変えることは十分に可能です。

一方、一般企業にはふつう編集部門などはありませんから、記者は業種を変える=職種を変えるとなってしまい、転職のしにくさでいったら比較になりません。

単純に記者職が嫌というのであれば、本来は新聞社内で職種を変える(編集⇒営業、総務など)という方法が一番の近道なのですが、業績が右肩下がりの既存マスコミ(特に紙媒体)に残りたいという人はあまりいないでしょう。

これらを前提に検討していくことにします。

親和性のある分野を探してみると

まず民間企業を大きく2つに分けると、事業会社と機能会社に分かれます。

事業会社はモノやサービスを提供する事業を展開している会社群で、例えばトヨタ自動車などが最も分かりやすい例だと思います。一方の機能会社は事業会社などに広く機能を提供する会社群となり、コンサルティング企業やPR会社、広告代理店などが該当します。

はい、ピンと来た方がいるかもしれませんが、皆さんの業界に近い分野の名前があがりましたね。

「広報」や「広告」は報道とは異なりますが、情報発信、制作という面では多少親和性があります。PR会社であれば記者時代の人脈を期待されるかもしれません。

新聞記者から転職する際にはこのように隣接している業界、親和性のありそうな分野を探していくことが基本戦略となります。

もちろんまったくの未経験分野に進出することも不可能ではありませんが、それは第二新卒と同じ扱いになるということですので、年収だけでなく、キャリア上も大きなマイナスとなります(ただし入社1~2年の若いうちであれば、そちらのほうがよい場合もあります)。

いずれにせよ、まずは多少でも関わりのある「広報、広告、制作」という軸が見えてきました。

ここで興味を持たれた方はPR会社、制作会社などを中心に求人を見ていってもいいでしょう。

いま求人がないようであれば、キャリアアドバイザーに伝えておけば、次に求人が出た際に紹介してもらえると思います。

機能会社をおススメしない理由とは

さて、では私がこうした機能会社の広報や制作への転職をおススメするかというと、実はそういうわけではありません。

もちろん仕事にはそれぞれの人の志向や適性がありますから、こうした企業でバリバリ働く人もいると思いますし、それはそれで素晴らしいことだと思います。

ただこうした機能会社は労働集約的なため、往々にして激務になりがちです。

新聞社で働いてきて「もうちょっと落ち着いて働きたい」「家族との時間をしっかりと確保したい」と思っている人には正直あまり魅力的な職場とはいえません。

また規模が小さい会社が多いので、新聞社の将来が心配で転職したのに、先行き不安なことに変わりはなかったりするかも。

そのような意味ではこうした企業への応募に躊躇してしまう人もいるのではないかと思います(私もそうでした)。

ではどこを推奨するか。

事業会社の広報を目指してみよう!

それは「事業会社の広報」です。私自身、新聞記者から事業会社の広報部門に転職を果たしました。

事業会社は広報セクションが小さく、またジョブローテーションで人を割り当てていくことも多いので、採用が少ないことから、転職の難易度は上がります。

が、不可能ではありません。

ワーク・ライフ・バランスは会社・部署にもよりますが、基本的にはその会社の労働条件が適用されるため、一般に新聞社や機能会社よりも働きやすい傾向にあります。

そしてここが私のお伝えしたいポイントなのですが、機能会社はよく言えばプロフェッショナル集団ですが、悪く言えば事業会社の外注先、要するに下請けとなってしまいます。

記者をやっているとあまり意識しないと思いますが、ビジネスでは方針を決める上流と、それに基づいて作業する下流では、仕事の面白さはもちろん、積める経験にも大きな差がつきます。

本社機構で役員が考えた方針をもとに戦略を展開していく仕事と(これはこれで泥臭くて大変です)、その指示に基づいて制作物をつくる仕事。

どうしても編集や制作にこだわりたいならともかく、業界を脱出して新たなキャリアを築きたいのであれば、私としてはぜひ前者を勧めたいのです(それに編集や制作にこだわるのであれば、あえて転職する必要はありませんしね)。

日常の仕事レベルで言っても、記者出身者が下請けとして発注者にあれこれ言われることに耐えられるのか、という疑問もあります。

事業会社の素人がプロの制作物を(意味不明な)修正で真っ赤にするのです。

それこそデスクの比ではありません。

私は発注者側でしたが、このとき初めて「人に使われるって大変だな」としみじみ思いました(ちなみに真っ赤に修正したのは私ではありません)。

これは私の拙い経験に基づいた個人的見解であり、職業に貴賤がないのは大前提ではありますが、一方で自分が見てきたからこそ、私としては機能会社ではなく、事業会社を目指すことを推奨します。

広報を入口としてさらなる異職種も視野に

さて「広報なんて記者の接待役だろ。ごめんだよ」と思う方もいるかもしれません。

そういう側面があることは否定しませんが、それは仕事のほんの一部。

実際にやってみると意外と多様な仕事がありますので、そう食わず嫌いにならないで検討してほしいと思います。

また「広報になんて興味がない」という方もいるかもしれません。

もちろん事業会社の広報が唯一の正解ではないのですが、選択肢が少ない中では、そう選り好みをしていられないのもまた事実です。

そして一般企業は往々にしてジョブローテーションがありますから、新聞記者からいきなりは無理でも、まずは広報を入口として、そのあとで宣伝やマーケティング、あるいは総務や人事に移っていくことも十分に可能です。

なので事業会社への転職を考える際には、入口としての広報ということをぜひ検討してみてください。

ただし繰り返しになりますが、以上はあくまで私の見解。自分の人生に大きく影響することですから、自身でもじっくりと考えてみてください。

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