それではいよいよ職務経歴書に進みましょう。新聞記者のスキル・キャリアは潰しが効きにくいとはいえ、アピールできることがないわけではありません。なんにせよ職務経歴書は提出しなければならないわけですから、企業から「面接に呼んでみてもいいかな」と思ってもらえるようなものを作成しましょう。目指すのは完璧なものではなく、及第点を取れる書類です。
まずはキャリアの振り返りから
職務経歴書を作成するにあたって、まずは簡単に自分のキャリアを振り返り、棚卸をしておきましょう。
まずは実績だとか自己PRだとかを気にせずに、事実関係の整理で問題ありません。
例えば以下のようなイメージになるでしょうか(私の経験をもとにしていますが、あくまで架空の例としてデフォルメしています)。
■ ○年○月~○年○月:地方支局 A新聞社入社、B支局に配属。取材記者として、県・市などの地方行政を取材するとともに、同地方に拠点を置く大手企業の動向もフォロー ■ ○年○月~○年○月:編集局経済部 東京本社編集局経済部に異動。取材記者として、中央官庁C省を担当し、関係省庁も含めて主に行政関係を取材するとともに、同省が所管するD業界にも対応。○年から後輩記者の指導も担当 ■ ○年○月~○年○月:編集局整理部 東京本社編集局整理部に異動。紙面編集を担当
地方支局・出稿部門・整理部門と一通り網羅してみましたが、内容に差はあれど、大まかにこんな感じでまとめることができるのではないかと思います。
それぞれの持ち場で何に取り組んだか
それでは次に、これらの経歴をもう少し深堀りしてみます。
とはいえ難しく考える必要はありません。
それぞれの持ち場で具体的にどのような業務に取り組んだのかを整理してみましょう。
■ 地方支局: 記者会見やニュースリリースのフォロー、各種インタビュー、審議会・委員会関連の取材などに幅広く従事。日々のニュース報道のほか、○○をテーマに自治体や地場企業、地域の経済団体などに取材してまとめた、全5回の連載も企画、掲載 ■ 経済部: 上記のようなニュース報道や連載記事に加えて、定期的に特集記事を出稿(月○本程度)。また経済部在任中に○○(大事件・大災害など)が起こり、報道チームの一員として一連の報道に従事、関連記事が社長賞にノミネート ■ 整理部: 整理記者として、紙面のレイアウトや見出し作成、文章校正、写真のトリミング、Adobe Illustratorによるカット・図版類の作成などを担当
いかがでしょうか。
もちろんもっとある方は、さらに書き出していただいて構いません。
これまでの日々を思い出しながら棚卸すると、自分でも意外なほどいろいろなことに取り組んでいたことに気づくはずです。
この作業は思い出を振り返っているようで、私は苦にならなかったのですが、皆さんはどうだったでしょうか。
数字、マネジメント、前例打破
さて、いくつかポイントを付記しておきますと、新聞記者の仕事では難しいかもしれませんが、定量的に数字を出せるものは明確にしておきましょう(全○回、月○本、受賞○回など)。
新聞記事を書く上でも同様ですが、具体的な数字が入っていないと、どうしてもふわっとした印象となってしまいます。
営業経験者であれば「前年比30%増を実現」などと書けるのでより分かりやすいのですが、そこまでいかなくても定量的にアピールできるものははっきりと書きましょう。
またキャップやデスク経験のある方はマネジメント経験として必ず入れておきます。
上記のように後輩記者の指導ぐらいでも構いません。
実は一般企業でもいきなりマネジメントが求められる機会は多くないのですが、特に日系企業は「年相応」の経験を求めがちですし、潰しが効かない記者のキャリアの中でマネジメントだけは数少ない汎用性のある経験といえますので、必ず記載しましょう。
また(良い意味で)前例を破った経験があれば、それを書いてみるのもいいと思います。
例えば「これまで○○はフォローしていなかったが、××という問題意識を持ってデスクに提案し、同支局では初めて掲載に至った」などの事例です。
それからあまりいないかとは思いますが、意外とAdobe IllustratorやPhotoshopを使えると(業種、職種によっては)重宝されますよ。
「職務経歴」の記述内容が完成!
さあ、これで書類に記載する時系列の「職務経歴」はほぼ完了しました!
意外と簡単でしょう?
次回(⇨「職務経歴書を書いてみよう② 自己PRをつくる」)はここから概略や実績、自己PRを肉付けしていきます。
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