【コーヒーブレイク】ガバナンス強化は誰のため?

コーヒーブレイク
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新聞記者を辞めてできるようになったことの一つに株式投資があります。インサイダー取引にならないよう、記者をやっていた頃は担当企業の株に手を出さないのはもちろん、いつどこに取材に行くか分からないので、投資自体を控えていました(今でも遊び程度ですが)。

毎年この時期になると株主総会の招集通知が送られてくるので、最近はそれを読むのがちょっとした楽しみになっています。記者の職業病が抜けないのか、人事(取締役の選任)には真っ先に目がいってしまいますが、どこの会社でもすっかり生え抜きの役員が少なくなり、変わって社外取締役が増えている印象ですね。

彼らの経歴は大抵、元役人か大手企業の役員経験者、それに法曹関係者といったところで、一株主として見れば「この人たちに何ができるんだろう」とその経営手腕に疑問符がつきますし、従業員の視点で言うと「人選に苦労したんだな。それにしても(生え抜きが少なくて)夢ないな」と悲しくなります。報道的には「本当にこの体制でガバナンス大丈夫なのかよ。仲間内だけでポストを回してるんじゃないの」とうがった見方になるのかもしれません。

そしてどこの会社も判を押したように女性が1人入っていますが、これがいわゆるダイバーシティというものなのでしょうか。ガバナンス強化とお題目は立派なのですが、何か壮大な勘違いをしているような気がするのは私だけでしょうか。

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日本の社会は、海外からの圧力→官庁からの指示→民間企業による他社見合いの水平展開、という形で物事が進むことが多く、これらもその一形態だと思いますが、社会の在り方や会社の実情を考慮せずに形だけ海外の真似をしてしまっているので、本来の効果を発揮しないばかりか、世の中をいたずらに混乱させているだけのような気がします。

よく知られていることですが、あれだけのことを起こした東芝も、体制としてはきちんとガバナンスが効くようになっていたということで、やはりこれは壮大なハリボテなのだと確信しました(東芝担当の皆さん、今年の総会取材頑張ってください)。

私自身は、株式会社というのは本来の意味での「金を稼ぐための箱」でよいのではないかと思うクチですが、日本の会社は江戸時代の幕府や藩の延長線上にあるような組織なのですから、海外からの舶来思想をそのまま適用すれば齟齬をきたすに決まっています。もう近代化を急いだ明治時代ではないのですから、やみくもに海外発の概念を咀嚼もせずに取り入れるのはやめた方がいいでしょう。

もちろん密室での不透明な意思決定を良しとするわけではありません。今の政府のやり方を見れば誰だってそう感じるように、不透明でエビデンスが欠けた決定は嫌なものです。

だからといって社外取締役や女性を入れて多様性を確保すれば、議論が深まったり透明性が高まったりするかといえば、そんな単純なものではないでしょう。そもそもその業界に大した知見もない人が、どう議論に入っていけるというのでしょうか。

そのうち多様性をさらに高めるとか言って、(外圧をかけてきた国の)外国人の役員を増やしたりしないか心配です(さすがにこれはうがちすぎですかね)。

記者の皆さんはどう思いますか? 今後もし上場企業に転職するのであれば、考えておくとどこかで役に立つかもしれませんよ。

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