ここのところ系列局のパワハラ騒動で揺れていたフジテレビで、今度は本体の希望退職を募ることが発表されました。私の所属していた新聞社でもかつて募集がありましたが、この時は「いよいよか」と何とも嫌な気持ちになったものです。会社が希望退職を募ったら社員はどうするべきなのか、ちょっと考察してみましょう。
業績悪化で社内はピリピリ!?
どうも系列局の不祥事が続くなと思っていたら、フジテレビもやはり経済的に苦境に立たされていたのでしょうか。
⇨「岡山放送社員を悼む。パワハラとの戦い方はあるにはあるが、異動や休職、最後は退職検討を」
⇨「さくらんぼテレビでもパワハラ疑惑。転職先のパワハラ有無を調べる方法はあるか?」
パワハラと今回のリストラに直接的な関係はないかもしれませんが、業績が厳しくなると社内がピリピリして人間関係も悪くなるので、ちょっとうがった見方をしてしまいます。
それにしてもフジテレビがリストラとは時代も変わったなと感じざるを得ません。
実は私、フジテレビの入社試験を受けたことがあるのですが(あっさり面接で落ちました)、バブリーな社屋にやたらと派手な社員がいて、今でも印象に残っているぐらいです。
⇨「【コーヒーブレイク】ロスジェネ世代、既卒でマスコミ就活してた頃」
そのフジテレビがと思うと不思議な気持ちになりますが、私自身テレビをほとんど見ないので(最近は新聞も読まなくなりました)、仕方ないことなのかもしれません。
さて今回のリストラに対する野次馬的同情あるいは妬みは他メディアに任せて、当サイトではこのような希望退職が会社から発表された時に社員がどう行動すべきかを考えてみたいと思います。
私もかつて所属していた新聞社で希望退職の募集を経験しているので(私は対象外でしたが)、ぜひ一つの参考にしてみてください。
理想は希望退職募集前に転職活動
まず大前提として、会社側が希望退職を募るのは、かなり業績が厳しくなってからなので、理想論としては発表前に動いておきたいところです。
私の所属していた新聞社もそうでしたが、おそらくこのリストラ策が発表される前に再三にわたる経費節減のアナウンス、賞与の減額などがあったと思います。
もしその時点で転職活動に動いていれば、かなり有利に物事を進めることができたでしょう。
以前「転職は撤退戦」とお伝えしましたが、自分が決定的に追い詰められる前に戦略的に動くのが撤退の基本だからです。
だから希望退職の募集が始まってからでは、相対的に不利な戦いを強いられることになります。
50歳以上は割り切るのも一つの考え
ただ、だからといって大急ぎで転職活動をした方がいいとも言い切れません。
今回の希望退職の対象者は満50歳以上、かつ勤続10年以上の社員とのことで、冷静に考えれば退職日となる22年3月31日までに再就職先を見つけられない可能性は正直高いと思われます(再就職支援はあるようですが)。
⇨「記者の転職先を考える② 転職年齢と企業規模は逆相関!?」
50歳以上のテレビ局の社員であれば、それなりに資産もあるでしょうから、割増退職金をもらって退職し、堅実な運用や、これまでの人脈やスキルを使った単発的な仕事で雇われずに生きていくのが、客観的には良いように思われるのですが、いかがでしょうか。
また会社は傾くのは早いのですが、結構しぶとくて意外に潰れないものです。
まだお金が必要ということであれば、割り切ってしがみつくのも一つの手です。
厳しい言い方になってしまいますが、少なくとも当サイトで紹介しているような、エージェントを介した転職は難しいと思われます。
対象年齢未満の人ほど急いで!
さて問題は、今回は対象外であるそれ以下の年齢層の方々です。
この方たちはどうすべきかというと、対象外だったからとホッとするのではなく、素早く転職活動に乗り出すべきです。
別に実際に転職しなくても良いのです。
転職活動をすることで、どのような転職先があるか、年収はどれぐらいになるのかが分かり、いざ自分が苦境に立たされた時に取りうるオプションが分かるだけでも、儲け物なのですから(転職活動自体にリスクはないので)。
気付いたら崖っぷちという状態を避けるためには、まだ安泰なうちに手を打っておくことが欠かせません。
若い方たちはまだ資産も築けていないでしょうから、割り切って逃げ切るという手段をとることは現実的ではありません。
もう皆さん気付いていると思いますが、リストラをしたからといってマスコミ業界が今後、右肩上がりになることはまずありません。
私のいた新聞社だって一時的な止血というか気休めができただけで、事業構造を含む根本的な問題は解決できていませんでした。
社員の意識だって、そんなに簡単に変わるものではありません。
先ほど会社はなかなか潰れないと申し上げましたが、会社は残っても、中にいる社員の居心地は業績悪化とともに悪くなっていきます。
頑張っても賃金は上がらず、取材費は削られ、そんなところにしがみつくには残りの人生が長過ぎます。
ですから今回対象外だった人ほどしたたかに転職活動を行なった方が良いでしょう。
私も希望退職募集後に転職したクチです。
希望退職の募集には良い点もあります。
それは転職活動をする理由を奥さんに説明しやすいということです。
⇨「嫁ブロックを避けるためにできること。転職活動のこと、そろそろ家族に伝えましたか?」
自分が対象外だったとしても、これほど会社の先行きが暗いことを分かりやすく示せる事案はなかなかないでしょう。
少なくとも漠然とした将来不安ややりがいのなさ、職場の人間関係を持ち出すよりも、はるかに納得してもらいやすいはずです。
優秀な人が斜陽産業にいるのは、個人にも社会にも損失
結論としては若い人ほど転職すべき、50歳以上の人は独立か、しがみつくということになりました。
ここまで書いてきて思ったのですが、これでは会社側の本来の目的である社員の年齢構成の是正はいつまでも図られず、新しい人も育たず、会社は緩慢な死を迎えることになってしまいますね…。
でもそれが産業界の新陳代謝として、今の日本に求められていることなのかもしれません。
色々言われますがマスコミ業界は優秀な人が多いと感じますので、ここまでと思ったら見切りをつけて、新しい道を切り開きましょう(制作や報道を続けたいとしても、今の時代、別にテレビ局にこだわる必要はないですよ)。
個人にとっても社会にとっても、その方が斜陽産業で働くより幸せだと私は信じています。
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