記者の転職を戦略的に考える① 強みを把握し、効果的なアピールを

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「記者はつぶしがきかない」とはよく言われることで、それは確かに事実なのですが、これまでに培ったスキルや経験がまったく生かせないなんてことはありません。考えようによっては他の人にはない希少なキャリアでもあるので、ご自身の強み、弱みを把握して、効果的なアピールに努めてみましょう。

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記者と事業会社の経験から導いた考察

マスコミからの転職を支援する「プレスゲート」
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早いもので年が明けて2022年も3日目。

私もそうでしたが、こうした暦の区切りには「今年こそは(転職を)」と決意を新たにしたりするものですよね。

そこで今回は、今後の転職活動を効果的に進められるよう、改めて記者(マスコミ関係者)の転職を戦略的に考察し、記者出身者の強み、弱みを明らかにしてみたいと思います。

書類選考や面接のフェーズになると、よく分からない理由で「お祈り」されたりすることもあり、悩んでしまうこともあるでしょう。

この考察は記者、事業会社の双方を私自身が経験して気付いたことですので、そんなときの道しるべとして役立ててください。

強み、弱みは「競合」「顧客」との間で決まる

さて、強み、弱みはどこを目標としているかで変わるため、ここでは私の推奨する「事業会社の広報」への転職を前提に考えてみます。

「記者の転職先を考える① どこに転職できるかが問題だ」

自分自身の強み、弱みは「競合」や「顧客ニーズ」の中で相対的に決まるものなので、競合や顧客の置かれた状況から考えてみましょう(なんかコンサルっぽくて嫌ですが)。

まず競合(同一求人への応募者)は「事業会社の広報経験者」「PR会社出身者」あたりが想定されます。

彼らになくて、私たちが持っていて、かつ顧客である応募先企業が欲しがっている欲しがりそうスキル、経歴が強みということになります。

何が強みに該当するのか、少し考えてみましょう。

顧客は広報活動を担える人材を募集しているわけですから、以下の2点がマスコミ出身者の強みと考えられます。

  • マスコミ内部の事情に精通していて、効果的な情報発信が可能
  • 取材や執筆、撮影といった作業をこなせ、編集のポイントが分かる

なーんだ、そんな当たり前のことか、と拍子抜けしましたか?

でもこれ、うまくはまれば結構な強みになるんですよ!

マスコミのことを知らない広報担当者

会社によるとは思いますが、私が事業会社の広報に転職して驚いたことは、長年広報セクションにいる人でも全然マスコミのことを分かっていないということです(PR会社の人も同様の印象)。

記者の皆さんも心当たりがあると思いますが、ニュースバリューのないネタを、クソ忙しい時間帯に広報から売り込まれることほど、迷惑なことはありません。

それから「掲載前に原稿を見せてくれ」という依頼を「できねぇって何度も言ってるだろ」という言葉を飲み込みながら、懇切丁寧に説明してお断りした経験は皆さんにもあると思います。

悪気があるのではなく、分からないからこういうNG行動をしてしまうのです(知識があったとしても血肉化されていない)。

今は自社サイトなどのオウンドメディアによる広報活動が増えてきているとはいえ、まだまだマスコミを通じた報道発表も多いので、メディア企業の内部事情に精通し、記者さんと効果的なコミュニケーションがとれることは強みになります。

もちろん事業会社やPR会社の出身者にも精通している人はいるでしょうが、私の印象としては「インサイダー」である我々に一日の長があるように感じます(ただし報道と広報は似ているようで方向性はまったく異なるので、入社後に意識変革は必要です)。

編集ディレクションは素人には難しい

また転職後に私も改めて気付いたのですが、一般企業というのは、皆さんが考える以上にたくさんのメディア(冊子・ウェブ)をつくっています。

会社案内をはじめ、株主通信、統合報告書、社内報、採用向け会社案内、カタログ、コーポレートサイト、採用サイト、製品サイト…挙げていけばキリがありません。

当然ですが、これらの発行・公開には編集作業が伴います。

実際に作業するのは外部の制作会社なのですが、その作業に対するディレクション(要するに管理ですね)が必要になります。

そしてこれも会社によるのでしょうが、事業会社の人はディレクションもあまり上手くありません。

予算やスケジュール管理みたいなビジネスっぽいところは良いのですが、企画や校正といった編集の本筋に近い部分は本当に弱いと思います。

「その言い方じゃ伝わらないよ」「ライターさんの初稿の方がよっぽど良かったのに、何で赤を入れたんだろう」と思ったことは数え切れません。

これは私が転職後に編集とは違う分野のディレクションを任されて気付いたことなのですが、その作業のことがよく分からないと指示や修正は極めて難しいのです。

編集経験者であれば息をするように自然に分かることでも、実作業をやったことがない人には何が良くて、何がまずいのかが分からず、不安で、また仕事をやってる感を出すために過剰に口を出すのだと思います。

結果的に時間をかけた割には「何だこれ」みたいな制作物が上がってきたりしますので、編集経験者としてここをうまくディレクションできれば、きっと新天地で大いに活躍できるでしょう。

実務経験がないことは最大の弱み

逆に「競合にあってこちらにはない」のは実務経験ですね。ここが大きなウィークポイントとなります。

  • 広報の実務経験がない
  • 事業会社での実務経験がない

マスコミ以外のステークホルダー(株主・投資家、従業員、顧客、地域、行政など)対応、ウェブの管理、予算策定・管理、プレゼン、エクセル・パワーポイントの操作、稟議書の扱い、会議のファシリテーション、大企業特有の根回し…といった広報全般、管理部門のお作法みたいなところは弱みになりますね。

ではこの強みを生かし、弱みを小さくするにはどうすれば良いのでしょうか。

次回(⇨「記者の転職を戦略的に考える② 面接の逆質問で転職先のニーズを見極めよう!」)は顧客ニーズの視点から、強み、弱みを読み解いていきたいと思います。

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