これまで一次面接の位置付けや流れについて解説してきました(⇨「一次面接で勝負は決まる!将来の上司に「こいつと一緒に働きたい」と思わせよう」、「新卒とは異なる転職の面接の流れ。取材の場慣れは武器になる」)。一次は基本的に「一緒に働きたい人を選ぶ場」ではありますが、いくら心証を良くしても、話している内容がヨタヨタしていたら、それはやはり良くありません。転職の面接で聞かれることは大体3つに集約されるので、先方に提出した職務経歴書を見ながら、事前にある程度準備しておきましょう!
中途採用はオーソドックスな質問多し
新卒の就活では時々、意味不明な質問が出て応募者を困らせたりしますが(最近はもうないですかね。「自分を動物に例えると」みたいなしょうもない質問)、転職の面接で聞かれることは非常にオーソドックスです。
ポテンシャルなんていう捉えどころのないものを見極めなくてはならない新卒の面接では、少し意表をつく質問をして反応を見るという手法が有効なのかもしれませんが、キャリアのある人たちを選考する中途採用の面接の場合、これまでの職歴に少し突っ込んだ質問をすれば、応募者のおおよそのレベルは分かります。
そのため、あまり捻りの効いた質問はありませんし、形式も個人面接がほぼ全てと考えて問題ありません(私は集団面接もグループディスカッションも経験しませんでした)。
だから履歴書や職務経歴書に記載した内容に改めて目を通しながら、ある程度の想定問答を準備していくのがよいでしょう。
⇨「書類は自分自身のカタログです。一般企業に何をアピールするべきか?」
転職でも大切な「志望動機」と「自己PR」
さて中途に限らず新卒採用でも同じことですが、まず面接で伝えなければならないことは「志望動機」と「自己PR」です。
特に新卒採用においては、この2つが全てと言っても過言ではありません(聞かれ方は特殊な場合もありますが)。
【志望動機・自己PRのイメージ】 ・「私はこういうことができて、こんなふうに考えて行動します」(自己PR) ・「だから○○のような事業を手掛けている御社を志望します」(志望動機) ・「ご縁があって入社した際は、私のこのようなスキルを生かして、御社の発展に貢献したいと思います」(自己PR)
以上の流れがワンセットであり、これを相手の質問に答えながら伝えていくのが、基本的なセオリーとなります。
中途採用の場合もこの軸は変わりません。また先ほど申し上げたように、オーソドックスな形で聞かれることがほとんどです。
新卒の場合は学生時代の経験しかありませんから、志望動機にしても自己PRにしても根拠薄弱で、それがゆえに様々な質問を投げかけられるのでしょう。
対して中途採用の場合は、実務経験を踏まえた具体的な内容を伝えられるはずですから、「経歴を説明してください」「なぜ当社を志望するのですか」といったシンプルな質問にストレートに答え、自分自身をアピールしていくことになります。
でもそれだけじゃないのが転職の面接
ではどんな感じで進んでいくのかというと、これはご自身のインタビューを振り返ってもらえば分かると思うのですが、結構最初の質問で多いのは「ご自身の経歴について簡単に説明してください」というものです。
インタビューでも突っ込んだ質問をする前に「まずは改めて経歴を」という感じの質問を投げかけますよね? それと同じことです。
当然相手は職務経歴書に目を通しているでしょうから、おおむね内容は知っていることでしょうが、こちらを知ってもらうための会話の糸口として、職務経歴書の内容を簡潔に答えます(この段階では自己PRまではいりません)。
さて経歴の説明が終わったら、これまでのキャリアの深掘りに移るのでしょうか、あるいは志望動機が聞かれるのでしょうか?
その場合ももちろんありますが、ちょっと立ち止まって考えてみます。
新卒と中途の違いは何でしょうか?
新卒は学生時代が終わるので就職をしなければならないという「必然性」があります。
対して中途採用の応募者は、これまで別の会社で働いてきており、倒産したということでもなければ、会社を移る「必然性」がありません。
そう、必然性がないのに入社を希望するという「転職理由」を説明することが求められるのです!
最も難しい「転職理由」はよく練って
例えば経歴を説明し終わった後に、こんなふうに聞かれたりします。
「素晴らしい経験を積まれており、現職で今後も活躍できそうですが、なぜ転職を希望されているのでしょうか?」
「ならキャリア採用なんてするなよ」と思いたくなるところですが、そこをグッとこらえて納得できる回答を用意しなければなりません。
なかなか難しい質問ですね…。
でも先方も何か重大な問題を引き起こしたり、入社してすぐに退職したりするような人材を取りたくないのは当然ですので、きちんとした理由を説明できなければなりません。
例えば(いないとは思いますが)「何となく嫌になって」と退職理由を答える人には、当社も何となく嫌になって辞めるのだろうなと面接官は思うでしょう。そういうことです。
そしてその上で、なぜ異業種・異職種の求人に応募したのかという「志望動機」を伝えなければなりません。
つまり転職の場合、「志望動機」「自己PR」「転職理由」の3点が重要ということになります。
中でも「転職理由」はかなり突っ込んで聞かれると思ってよいでしょう(特に伝統的な大企業の場合、その傾向は強くなります)。
そしてこの3点は関連付けて、ワンセットで論理的に説明すると説得力が増します。
改めてイメージを書き起こしてみるとこんな感じでしょうか。
【志望動機・自己PR・転職理由のイメージ】 ・「私はこういう経歴を重ねてきて、こんなことができます」(自己PR) ・「今の会社でも充実感のある仕事をしていますが、かくかくしかじかの理由で転職を検討しています」(転職理由) ・「御社は○○のような事業を出掛けており、転職理由や今後のキャリアを踏まえ、興味を持ちました」(志望動機) ・「ご縁があって入社した際は、私のこのようなスキルを生かして、御社の発展に貢献したいと思います」(自己PR)
なかなか難しいのですが、ここは最終面接に至るまでの軸になりますので、しっかり考えておきたいところです。
それでは次回(⇨「デスクの文句はやめて!「転職理由」は前職の悪口を言うことではありません—面接の回答例」)、例を使って「志望動機」「自己PR」「転職理由」を具体的に考えてみましょう!
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