昨日、近所の書店で「週刊文春」をパラパラとめくっていたら、岡山放送社員のパワハラ自殺という痛ましい記事が目に飛び込んできました。当サイトでは仕事を続けながらの転職活動を推奨していますが、このようにパワハラを受けている場合は例外です。早めに逃げるようにしましょう。
多様なキャリアを示して悲劇を減らしたい
まずはお悔やみを申し上げます。今回の記事で取り上げることをお許しください。
当サイトは基本的に転職活動のプロセスに沿って記事を更新していますが、マスコミ業界からとても悲しいニュースが流れてきましたので、予定を変更して本記事を配信します。
それにしても数年前あれだけ電通事件が騒がれ、その後「働き方改革」が進んでいるにも関わらず、本当にパワハラはなくなりませんね!!
オンライン版でも報じられていますが、「週刊文春」によれば、フジテレビ系列の岡山放送社員が上司のパワハラを苦に入水自殺したということです(第1報は少し前で最新号は続報のようですね)。
もちろん両者の言い分を聞かずして断罪はできないわけですが、何にしても仕事が原因だったとしたら、他のキャリアに進むことで死を避けることもできたはず。
こういうサイトを運営している以上、微力ながら、さまざまなキャリアの可能性を示すことが役割の一つだと考えておりますし、少しでもこのような悲しい事件が減ることを願ってやみません。
パワハラは自覚がないから治らない!
当サイトでは再三にわたり「現職を続けながら転職活動をするべき」とお伝えしてきましたが、健康を著しく害するようなケースや、ましてや死を考えてしまうような場合は、転職活動は後回しにし、すぐに異動申請や休職、難しいようなら退職を考えてください。
私の経験から、またマスコミ業界は体育会系(というかパワハラ体質)なので皆さんも経験があるかもしれませんが、パワハラはまず治りません!
なぜなら本人にパワハラをしている自覚がないからです。
私の知る範囲でも、パワハラで有名な部長がパワハラ研修の動画を見て、「こんなことをする奴がいるんだな」と本気で驚いていたという嘘のような本当の話もあります。
またパワハラ案件を主管する人事部門の責任者が、部下を公開で面罵しまくるといった信じられないエピソードも尽きません。
悪いという自覚どころか、そもそも自分がパワハラをしている認識がないため、是正のしようがないのです。
ですから基本的な対処方針としては、加害者を異動させるか、処分するしかありません。が、それも難しいのは皆さんもご存知でしょう。
相談窓口は役立たずどころか害悪
もちろん被害者側としても戦い方がないわけではありません。
かなりぼかした表現になりますが、私(たち)の経験したエピソードをもとに、そのやり方を一部ご紹介しましょう。
まずは、
①日々の加害者の言動を正確に記録する(録音がベストですが、日時や内容を具体的に書いておけばメモでも証拠になります)
②メールは全て残しておく
③何か物的証拠があれば写真に撮っておく
といった事細かに記録を残しておくことが第一歩となります。
次に他にも被害者がいれば仲間を募ります。一個人ではなく組織の問題だということを会社側に認識させるためですが、結構この段階でビビっちゃう(泣き寝入りする)人は多いです。
さて証拠も集まった。どうにか説得して仲間も募った。次は社内のパワハラ相談窓口に相談でしょうか?
いいえ、違います。しっかり機能している会社であれば有用なのかもしれませんが、多くの日本企業ではあんなものは役立たずどころか害悪機関です。
試しに人事部門に食い込んで(記者なので頑張りましょう)、非公式に相談したいと打診してみたら企業側の本音が分かると思います。
私たちの経験では「握りつぶされるから止めろ」と忠告を受けました。
ちなみに後に他部署の方が別の上司のことを相談したらしいのですが、その上司に誰が通報したのか分かってしまい、職場環境はさらに悪化したようです。
企業側が用意している相談窓口なんて、そんなものです。
ちなみに企業内組合はここに記す必要がないほど、輪をかけて役に立ちません(私は組合の執行部も少しやっていたので、そのダメさ加減がよく分かります。組合によるとは思いますが、基本的に彼らは賃金交渉だけが仕事と思っています)。
社内人脈をフルに駆使して上層部に伝える
だからといってここで諦めるようでは記者の資格はありません。ではどうするのか。
多くの場合、パワハラは直属やラインの上司から受けていると思いますので、斜め上の管理職層を巻き込むのです。
上層部までいってしまうと現場のことが分からず、相談しても判断ができないのですが、近くの管理職層で、かつまともな人であればパワハラを見知っていて、問題意識を持ってくれていたりします。
この時にものを言うのは、具体的な証拠と、「個人的な相談ではなく組織の問題として考えている」という姿勢です。
それがなければ管理職層も動きようがありませんし、居酒屋でクダを巻いているのと変わらなくなってしまいます。
そしてさらにそこから有力者層まで社内人脈を駆使して情報を上げてもらいます。
私たちのケースでは副社長格の役員まで到達し、そこからさらに経営トップ、人事部門の責任者に流れることになりました。
その結果、どうなったか。
最低限の処分に失望、リスクに見合わず
経営トップによる口頭注意で手打ちとなりました。社内規程にある最も軽い処分である「譴責」にすらなりませんでした。
「週刊文春」によれば、今回のケースでも相談窓口に報告や申告、相談がなかったと会社側は回答しており、会社幹部もパワハラかどうか「グレーゾーン」と話しているということです。さもありなんという感じですね。
このようにパワハラに対して戦うことは不可能ではありませんが、少なくとも社内で解決しようとすることは、コストやリスクが高い割に、リターンが極めて低いということを認識しておきましょう。
思うに日本企業は一種の共同体ですから、社内で波風を立てないことが何よりも優先されるのだと思います。
※なお以上は事実をもとに記載していますが、一部デフォルメしていること、私自身はパワハラが原因で新聞社を辞めたわけではないことを、参考までに申し添えておきます。
転職活動は元気になってから
さてこのような事件が起きると「すぐに転職すべきだ」という意見が散見されますが、それができないから皆さんパワハラに耐えて潰れてしまうのでしょう。
精神的に弱っているときは判断力も鈍っているので、私はむしろ「転職」という変化を伴う重大な決断はできるだけ避けるべきだと考えます。
まず必要なことは、①医療機関の受診、②異動申請、③休職の検討です。
環境を改善するだけで体調はかなり回復しますし、元気になった段階でジャーナリストを続けるのか、別の新聞社なり放送局に行くのか、あるいは新たなキャリアを模索するのかを考えましょう。
それがどうしても難しい場合に④退職を検討しますが、いずれにしても単なる我慢は避けて心身の健康確保を最優先します。
健康、それに命より大切なものはありません。このような悲劇を防ぐために、当サイトでも有用な情報を発信していきます。
コメント