記者の転職先を考える② 転職年齢と企業規模は逆相関!?

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前回、新聞記者の転職先として「事業会社の広報」がオススメとお伝えしました(⇨「記者の転職先を考える① どこに転職できるかが問題だ」)。とはいえ事業会社と一口に言っても、その規模や業種はさまざまです。ではどのあたりの企業に狙いを定めたらよいのでしょうか。そこには日本の労働市場とは切っても切り離せない「年齢」が大きく関係してきます。

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「転職は35歳まで」は本当か?

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マスコミ関係者向け転職支援・相談・コンサルティングを展開する「プレスゲート」です。新聞、出版、放送関係者で異業種・異職種への転職をお考えの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

終身雇用が崩れたという割には、いまだに新卒一括採用にこだわる日本社会では、一般的にこんなことが言われています。

「まったくの未経験分野への転職は30歳まで、転職自体も35歳まで」

是非はさておき(というか既卒で就職活動に苦労した私としては硬直的な採用慣行が大嫌いです⇨「【コーヒーブレイク】ロスジェネ世代、既卒でマスコミ就活してた頃」これは今でもある程度は事実です。

もちろん新卒一括採用の慣行は一昔前に比べれば多少は崩れてきているとも聞きますし、私が新聞記者から転職後に勤めてきた会社にも、30代半ば~後半ぐらいの人たちが中途採用で入社してきていました(今も入ってきています)。

だから必ずしも35歳までじゃないと転職できないというわけではありません。

ただそれも程度問題で、現在在籍している会社でも40代になって異業種・異職種から転職してくる人は少ないのが現実です。

その年齢になると、平社員として入社するというより、いきなりマネージャーや責任者になるようなパターンが多く、その絶対数はあまり多くありません。

いわゆる東証一部(現プライム)に上場しているような歴史ある大企業のほとんどがこのようなタイプに属すると思います。

新聞社を見れば事情が分かる

なぜこのようなことになるのかというと、新聞社の人事制度を見てもらえればよく分かると思います。

新聞社は歴史が古いぶん典型的な日本のカイシャで、いわゆる年功序列で人事制度が運用されています。

「○○と××は同期だ」「俺は○年入社」とかいう言葉が飛び交っていたら間違いなく年功序列企業です。

このような企業では入社○年、○歳ぐらいの社員にはこれぐらいのスキルと経験を有してもらい、報酬はこれぐらいというテーブルがおおよそ決まっています。

そのようなところに年齢が高く、しかも業界未経験の人が入る隙間はありません。当該職種に対する知見もなく、社内の事情にも暗いのに、年齢が高い人を処遇する術を会社側が持っていないからです(若ければ安い給料で雇えます)。

というかそんな難しいことを考えなくても皆さん感覚的に分かりますよね。

新聞社でも「45歳、業界未経験」の人が「昔からマスコミに興味があって」といきなり入社してきたら困るのではないでしょうか?

取材の指示や指導もやりにくいと思いますし、それに今から鍛えてデスクに上がるのは何年後になるのでしょう。

そしてその人がベテランの45歳ぐらいの人と同じぐらいの給料をもらってると知ったら複雑な気持ちになりませんか?

それと同じことです。

ただ例えば、これから経済報道に力を入れようというときに、元商社マンや元銀行員を記者として採用するのは、この限りではありません。

新聞記者出身者もある年齢層の人までは、このようなニッチなニーズを見つけて転職することも可能です。

「記者の転職を戦略的に考える② 面接の逆質問で転職先のニーズを見極めよう!」

年代別に狙える企業の規模感は

年齢が高くなるに連れて転職が難しくなるというのは嘘ではありません。

ただしこれは年功序列で人事制度を運用している歴史ある大企業の話であって、ベンチャー(最近はスタートアップというのですか)や新興企業、あるいは上場企業であっても年功序列にこだわらない会社は、前者ほど年齢にこだわらないでしょう(それはそれで実力主義なので大変です。またこのような企業は必然的に退職金制度がないことが多く、自分自身で人生設計をしっかりやる必要があります)。

これらを踏まえて、各年代ごとに狙える企業の規模感を記載していきたいと思います。

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・22歳〜25歳

入社3年程度で、第2新卒かそれに準じた扱いとなり、ポテンシャルを重視して採用される年代です。

新聞記者としてのスキルや経歴よりも、社会人としての基礎的な部分が評価されるのでしょうが、私自身はこのような立場で転職したことはなく、またこのような立場の転職者を受け入れたこともありませんので、具体的なアドバイスはできず、申し訳ありません。

一般的に言えば、この年代は(景気が良ければ)あらゆる異業種・異職種に最も転職しやすい年代といえるでしょう。

入社早々、記者が合わないと思った方はこの時期に抜け出したほうがよいかもしれません。

・26歳〜39歳

かなりざっくりとした分け方ですが、私自身の転職体験、また転職者の受け入れ経験を踏まえると、こんな感じの区分でよいかなと思います。

採用する側からすると、管理職一歩手前までの「若手〜中堅」ということになるでしょうか。

この年代はポテンシャル+キャリアの2軸で評価され、年齢が上がるにつれてポテンシャルの比重が下がることが特徴です。

求人があれば、年功序列型の東証一部(現プライム)上場企業に転職することも可能なのがこの年代です(私自身の実績もあり、転職してきている人を見てきてもいます)

その大きな理由は平社員で入ることが可能で、年功序列の秩序を乱さないからだと思います。

また前述したようなニッチなニーズを持っている企業もあり、マスコミ人脈や文章力を求めている会社には記者出身者は転職しやすいでしょう。

業種としてはさまざまな求人が見られ、成長産業はもちろん、あまり中途採用に積極的ではなさそうな金融や重厚長大メーカーのものもあったりします。

・40歳〜

私の経験に基づく転職指南サイトという趣旨からは、こちらの年代にもあまりアドバイスできることがありません。

ただ日本の雇用慣行を踏まえると、この年代から年功序列企業に入ることは正直難しいように思われます。

一本釣りされてしかるべきポストに就くような場合を除いて、厳しい戦いを強いられるのではないでしょうか。

私の在籍してきた企業でも、やはり多いのはメンバークラスでの採用で、40代以上はあまり見ないのが実際のところです。

「フジテレビでリストラ策。希望退職が募集されたらどうするべきか」

一方でベンチャーや新興企業、あるいは上場企業でも年功序列色が薄いところ(そういう会社も比較的新しいことが多いですが)では転職事例もあるようですし、そのような企業は広報に力を入れているところも多いのでチャンスはあると思います。

ただし企業規模はどうしても小さくなり、大半のケースで年収は下がることが予想されるので(見かけ上の年収が高くても、相当の残業時間が含まれていたり、先述したように退職金制度がなかったりするので、実質的には減少ということがほとんどです。年収減は全ての年代に言えますが)、そこにどう折り合いをつけるのかというのも、特に住宅ローンや教育費の負担が大きいこの年代では課題になると思います。

「想定年収額には要注意!転職求人の見方は?」

ちなみに年代に関わらず、ベンチャー企業を候補に含めると求人数がぐっと増えるので、転職エージェントに勧められるのではないかと思います。

過去を悔やむより、いま打てる手を

いかがでしょう? 思ったよりも厳しいと感じたでしょうか? あるいは案外いけそうな気がしてきたでしょうか?

私の印象としては巷間言われている「転職35歳限界説」は少々厳しすぎる見方かなと思います。

40歳以降の転職も難しいと書きましたが、それはいわゆる一般的な「転職」でイメージされるメンバー(要するに平社員)としての採用についてであり、かつ年功序列型の企業を対象とした場合です。

既に触れたように一本釣りされるような人は少ないながらも存在しますし、年功序列ではない企業も多数存在します。

具体的な名前は挙げませんが、大手企業や政府機構でも記者出身の広報責任者という方はいるようですしね。

もちろん新聞記者から広報への転職は、求人数が多いわけではなく、決して簡単とは言えません。

ただ「家族を抱えているから安定的な企業に入りたい」というぐらいの希望であれば、30代なら東証一部(現プライム)上場企業ぐらいに転職できる可能性は十分にあります(上場企業もピンキリなので十分に選びましょう)。

また年齢を重ねるごとに違う道に行くのは苦しくなりますが、年々転職者は増加する傾向にありますし、特に40代前半は就職氷河期の影響で私の実感でも社内に人数が少ない印象があるので、今後新たな需要が生まれてくるかもしれません。

どの年代にせよ、過ぎた時間は取り戻せませんから、現状は現状として冷静に分析しつつ、打てるべき手を着実に打っていきましょう。

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